――深夜1時17分。 長谷川健太(はせがわ・けんた)はスマートフォンの画面を凝視していた。東京の夜風が窓の隙間から忍び込み、打鍵音に交じってフローリングをかすめる。だが、その夜風すら、不穏な予感を運んでいるかのように凍りついていた。